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国際税務Vol.27 海外取引に係る消費税の取扱い4

海外取引に係る消費税の取扱い4

国際税務Vol.27

~券面のない有価証券の譲渡~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の木下です。

 

今週は国際取引に係る消費税がテーマです。

 

有価証券を譲渡した場合の内外判定について、

平成30年の消費税法施行令の改正がありました。

この改正により、従前とは取扱いが変わりますので、事例を見ながら確認していきたいと思います。

 

事例

「当社は、非上場の外国法人の株式(券面なし)日本の法人に売却しました。

消費税の取扱いについて教えてください。」

 

回答

国外取引に該当しますので、消費税は課税されず課税売上割合にも影響ございません

 

内外判定

消費税の課税の対象となる取引は、「国内」において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等が該当します。

 

有価証券等の譲渡の場合、有価証券等が所在していた場所により、国内か国外かを判定します。

ただし、有価証券等はペーパレス化が進み、券面がなく、どこに所在しているか不明なものが多くあります。

そのため、券面がない有価証券等は次により判定を行います。

 

① 券面のない有価証券等を振替機関等が取り扱う場合

・・・振替機関等の所在地

② ①以外の券面のない有価証券等の場合

・・・有価証券等の発行法人の本店所在地

 

事例検討

事例に当てはめて見ていきましょう。

券面がない株式のため、振替機関等が取り扱っているかが重要となります。

基本的に非上場株式は振替機関等で取り扱っておりませんので、外国法人の本店所在地=国外取引となり、消費税はかからないのです。

 

改正前の取扱い

平成30年の消費税施行令の改正により、上記のような取扱いとなりました。

それ以前においては、振替機関等での判定がなく、券面のない有価証券等の譲渡を行う者の譲渡に係る事務所等の所在地により行っておりました。

 

今回の事例ですと当社が日本の法人(国外に支店なし)の場合、有価証券等の譲渡は国内取引となります。

ただし、有価証券等の譲渡は、消費という概念になじまないため、非課税となります。

 

非課税の場合の取扱い

もし、改正後の規定で非課税(国内取引)となった場合、消費税自体はかかりませんが、課税売上割合を計算する際に注意が必要です

(非課税と課税売上割合の関係は海外取引に係る消費税の取扱い3

 

有価証券等の譲渡代価の5%相当額が非課税売上に計上されるため、

課税売上割合が低くなる→その年に納付する消費税が大きくなります。