相続・事業承継Vol.69 暗号資産の相続税対策は慎重に!
暗号資産の相続税対策は慎重に!
相続・事業承継Vol.69
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。
今回は、近年ご相談が増えている暗号資産(仮想通貨)をめぐる相続税リスクについて取り上げ、皆様にぜひご注意いただきたい点をお伝えします。
国税庁は2025年9月、OECD が策定した Crypto-Asset Reporting Framework(CARF:暗号資産等の国際自動情報交換制度)に関するガイドラインを公表しました。これにより、暗号資産に関する「申告漏れ」「国外取引所の未申告」「名義変更遅れ」などが、今後は税務調査で厳しく問われる可能性があります。
暗号資産は従来の預金や不動産よりも“見えにくく”、本人以外が把握しづらいため、相続直前や相続開始後に問題化しやすい資産でもあります。
【事例(想定)のポイント】
相続開始後に判明した暗号資産の存在
ある納税者の相続案件では、亡くなられた方が海外取引所に暗号資産を保有していたものの、家族がその存在を把握していませんでした。
銀行・証券など通常の財産調査では把握できず、相続税の申告後、国際的な情報交換制度に基づき海外取引所から日本の税務当局に取引情報が提供され、暗号資産の保有が判明しました。
これにより、相続税の申告漏れ、加算税・延滞税、名義変更遅延による追加説明など、多くの問題が発生しました。
【国際的なルール整備(CARF)と税務署の判断】
CARF により、今後は世界各国の暗号資産サービス事業者が
・利用者の氏名
・国籍・居住国
・口座番号
・暗号資産の残高・移転
・売買・交換などの詳細取引
を税務当局へ報告し、それが自動的に日本へ提供される仕組みが導入されます。
つまり、「海外にある暗号資産も含め、税務署が把握できる時代になる」ということです。
【税務署の否認ロジック】
暗号資産の典型的な否認ポイントは、次のとおりです。
・申告していないウォレット・口座がある
・海外取引所の保有を隠している
・名義変更を行わず放置している
・相続直前に大きな移転(売却・送付)がある
・価格評価の根拠が不十分
税務署が「課税逃れの意図あり」と判断すれば、厳しい課税処分が下される可能性があります。
【リスクを避けるために:必要な対策】
① アカウント情報の整理(家族共有)
② 財産としての記録保存(相続財産目録への記載)
③ 相続直前の不自然な移転を避ける
④ 海外口座の存在を必ず開示する
⑤ 必要に応じて税理士へ事前相談
【まとめ】
暗号資産は“見えにくい資産”であるため、相続発生後のトラブルにつながりやすい特徴があります。また、CARF により、海外の暗号資産も税務当局に把握される制度が整いつつあります。
相続直前の移転や、申告漏れの放置は、後の税務調査で大きなリスクとなります。
正しい情報整理・記録保存・税理士との連携を徹底し、行き過ぎた対策や隠蔽と誤解される行動を避けることが重要です。
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