国際税務Vol.71 海外通販の消費税が変わる!新制度のポイント解説~免税廃止とPF課税~
海外通販の消費税が変わる!新制度のポイント解説 ~免税廃止とPF課税~
国際税務Vol.71
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。
今回は国外事業者の消費税と税制改正がテーマとなります。
近年、インターネットを通じて海外から直接買い物をすることが、当たり前の時代になりました。一方で、国内外の事業者間での税負担の不公平が長らく課題となっており、これに対応するための大きな税制改正が行われました。
それでは、既存の通信販売に係る消費税の仕組みを踏まえ、今回の改正内容を確認していきましょう。
これまでの仕組み
商品の販売に日本の消費税がかかるかどうかは、原則として「その商品を販売したときに、商品が国内にあったか」で判断されております。
例えば、海外の倉庫から日本の消費者に直接送付されるようなケースでは、販売時点で商品が海外にあるため、原則として日本の消費税はかかりません。
海外から輸入するときの「1万円の壁」
海外から商品を輸入する場合、関税と一緒に「輸入消費税」を納める必要があります。
しかし、毎日大量に届く小さな荷物をスムーズに通関させるために、課税価格の合計額が1万円以下の小口荷物(少額資産)は、輸入消費税などが免除されます。
つまり、海外から少額の商品を直接買うときは、販売時にも輸入時にも日本の消費税がまったくかからない状態になっていたのです。
課税の不公平
国内事業者が販売する場合、どんなに少額な商品であっても消費税がかかるため、どうしても税込みの販売価格になります。
一方で、国外事業者は商品を海外から直接発送すれば、消費税なしの安い価格で販売できます。その結果、国内事業者が価格競争で不利な状況になっております。
特定少額資産の譲渡について
こうした税負担の差を解消するため、新しい制度が導入されることになりました。
具体的には、海外から日本に向けて発送される通信販売のうち、商品の対価の額が1万円(税抜)以下のもの(特定少額資産の譲渡)についても、日本の消費税が課税されることになります。
この改正によって、国内外の事業者が等しく消費税を負担する形となり、税金による価格の差がなくなり、平等な仕組みへと変わりました。
販売事業者の登録制度
特定少額資産の譲渡に該当する商品を輸入する際の手続きとして、新制度では以下の仕組みが設けられています。
登録による輸入時免税: 事前に「特定少額資産販売事業者」(免税事業者を除く。)として登録し、その番号や対象取引である旨などを税関に提示(申告)することで、輸入時の消費税が免除されます。
確定申告時の控除:輸入時に消費税が課税されたケースでも、その後の確定申告で支払った消費税額を差し引いて調整することが可能です。(免税事業者等を除く)
プラットフォーム(PF)課税と納税義務
本来、日本での課税売上高(2事業年度前)が1,000万円を超える国外事業者などは、課税事業者として自身で消費税の申告納付を行う必要があります。
しかし、新制度では海外からの納税手続きを簡素化するため、指定された一定のプラットフォーム(Amazonなどが該当する見込み)が代わりに申告納税を行う「物品販売に係るプラットフォーム課税」が導入されます。
どの取引がPF課税の対象になる?
国税庁が指定する第2種PF事業者を介した、以下の取引が対象(納税義務がPFへ転換)となります。
・国外事業が国内において行う資産の譲渡
(これに付随するものを含み、特定少額資産の譲渡を除く)
・事業者が行う特定少額資産(1万円以下)の譲渡
販売者側の申告は必要?
指定PF(Amazon等)経由の取引:
PFが代わりに行うため、販売者側での個別の申告・納税は不要です。
自社ECサイト等での直接取引:
PF課税は適用されません。課税事業者の場合は、販売者側で日本の消費税を計算し、申告・納税を行う必要があります。
制度の開始時期と注意点
この新しいルールは、令和10年(2028年)4月1日以降の取引からスタートします。
まだ先のことのように思えますが、課税事業者の判定には「2事業年度前の課税売上」などが使用されます。この判定の際は、令和8年や9年の時点ですでに新制度が始まっているものとみなして課税売上を計算するため、今のうちから特定少額資産の売上を集計しておく必要があります。
(※計算が難しい場合は、令和9年後半の3ヶ月間の課税売上を4倍して計算する特例も用意されています)
現在の取引が将来の税金に影響しますので、販売ルート(PF経由か、直接販売か)などを早めに確認し、準備を進めておくことが大切です。
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