ブログBlog

相続・事業承継Vol.19 事業承継概論 ~その②考えないといけない点総ざらい編~

事業承継概論

~その②考えないといけない点総ざらい編~

相続・事業承継Vol.19

皆様こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。

弊社のHPが新しくなりました。心機一転励んで参ります。

 

前回からの続きで、

今回は事業承継のステップ②「現況や課題を把握」を見てみましょう。

課題については、どんな課題があるかを紹介し、

それぞれの対応策も少しコメントしたいと思います。

あてはまる課題があるかどうか

そして対応策を思いつくことができたかどうか

を確認してみましょう。

現況の把握とは?

ステップ②を「現況の把握」と「事業承継自体の課題の把握」に分けて考えます。

前者について、まず出発点は「承継するに相応しい事業なのか?」という問いです。

具体的には、次のような点を整理しておくことです。

  • 現時点の強みはなにか、強みの源泉はなにか?を把握する

⇒強みとなっている商品の把握や、他社との比較をすること

  • 逆に弱みは何か、弱みへの対策はないか?を把握する

⇒反対に不良品の把握や、他社との比較をすること

  • 経営者と事業との関係を把握する

⇒経営者と会社の貸借関係や担保設定状況の把握や、株式関係の整理をすること

ここまでは、経営者がすでに把握している可能性もありますね。

こういった現況を把握しておくことです。

課題とは?対応策は?

ステップ2の後者「事業承継自体の課題の把握」については、事業承継独特の論点で、

今後把握していかないといけません。

主な課題とそれに対する対応策を見てみましょう。

①後継者候補の有無(事業承継の類型の模索)が明確か?

⇒これで類型が絞られます。

②候補者との意思の疎通はできているか?

⇒これは対話が重要です。また、実際に徐々に任せる範囲や責任を増やし、

株式を移転させたりして言葉だけでなく事実として承継の意思表示をしていくことも重要です。

③後継者の適性(能力、年齢、意欲、経験、)は充分か?

⇒これは修行するしかありません。社内で様々な部署やプロジェクトに参画させる、

社外で修行してもらう、様々な研修に参加してもらう方法などが考えられます。

④後継者を定めた場合の従業員との関係はできているか?

⇒中小企業の強みの源泉が従業員であることは多いです。

その従業員にとって、ある日突然信頼していない人がトップになったらどうでしょうか?

具体的には上記のように社内の様々な部署を経験することで関係を構築したり、

きちんと説明の場を設けて正式に認識してもらうことです。

⑤後継者を定めた場合の親族との関係は大丈夫か?

⇒後継者以外に親族がいる場合、「なぜ私が後継者ではないのだ」

という気持ちが起きる可能性があります。

さらに、株式が親族で分散している場合には、将来の経営の課題に直結してしまいます。

さらにさらに、⑦との関係も気になります。

経営者がリーダーシップをもって親族と対話して、協力、同意を得ておくことです。

⑥後継者を定めた場合の取引先や金融機関との関係は大丈夫か?

⇒取引先にとっては、現経営者だから取引をしてきたという実態があること、

もあります。

取引先などに事業承継を表明することに抵抗を感じることもあるでしょう。

でも、むしろお互いに事業の将来性が見通すことができて、有益だと認識しましょう。

早期に誠心誠意説明をしましょう。

⑦相続、相続税との関係は大丈夫か?

⇒株式や事業用資産を承継する場合には後継者本人の税負担は課題となります。

また、見落としがちなのが、「他の相続人の相続分や遺留分」です。

「長男ばかりに自宅や事業が承継された」「現経営者は事業に私財を投じている」

という状況はありえます。この状況だと、

ほかの相続人が納得いくような財産を取得できるように配慮しなければ

後々火種となります。

事前に相続財産を洗い出して誰にどの財産を渡すのかを検討したり、

保険金で別途手当てするなどの方法が考えられます。

⑧株式

⇒株式会社の場合には経営権だけでなく株式数(≒議決権数)による所有権の承継が

大変重要となります。株式の移動は法務や税務に関わることもありますので、

法律家や税理士に相談してみることが必要です。

まとめ

いかがでしょうか?

このように様々な課題があり、対策がありますが、

「わかってるよ、そんなことは」「机上の空論だろう」と思いませんでしょうか?

私もそう思います。

しかし、この感覚こそが事業承継に取り組むことに弊害かもしれません。

経営者のうちどれくらいが事業承継に取り組んでいると思いますか?

70,80代でも半分以下、60代で4割です。

全体の3割以上が「自分の事業は他社に比べて優れている」と思っていながら、です。

もったいないです。

また、3割が「後継者がいないから、見つからないから廃業予定」とのことです。

本当にそうでしょうか。笑顔で事業承継を果たす道は必ずあると思います。

次回は最後、ステップ③経営改善をしておく④目に見えない財産の承継を見た後、

実際に取り組むにはどうしたらいいか、を学びましょ

f:id:supt:20171005112723j:plain