相続・事業承継Vol.24 連絡の取れない株主はどうしたらいいか -所在不明株主対策-
連絡の取れない株主はどうしたらいいか
-所在不明株主対策-
相続・事業承継Vol.24
皆様こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。
皆様の会社に「この株主いつも連絡つかないな…」という方はいませんでしょうか。
今回は、事業承継にも組織再編などにも影響がある株主に関する問題、
“所在不明株主”への対応についてQ&A形式でご紹介します。
この所在不明株主、放置していると思った以上に困ったことになってしまいます。
疑問点
所在不明株主に関して代表的な3つの疑問点があります。
Q1.株主総会が成立するのか?
Q2.どうせ届かないのに毎回送付しないといけないのか?
Q3.株主の確認が必要な場合にはどう取り扱ったらいいのか?
Q&A
Q1.株主総会が成立するのか?
株主総会の通知などが届かないので、
「株主総会が成立しているか(あとで決議がひっくり返されないか?)」という疑問、不安があります。
A.届いてなくても送っていればOK
会社法に「(中略)株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所にあてて発すれば足りる。」(会社法126条)とあります。
つまり、たとえ通知が届かずに戻ってきてしまっても、
有効に通知等が行われた=株主総会の開催の要件は満たしていることになります。
注意点としては、株主名簿をきちんと備えておくことです。
ちなみに、
いつの間にかに、ある株主に相続が発生した結果、複数の相続人が共有で株式を持っていることになってしまったとします。
そんな時は、相続人から特に通知がないときには、
会社はその複数の相続人のうちの一人だけに宛てて株主総会通知を発すれば足ります。
Q2.どうせ届かないのに毎回送付しないといけないのか?
毎回どうせ通知が届かないので、手間や経費削減のために送付を止めていいか?という疑問です。
A.5年送り続けてダメなら、やめてもいい
こちらも「(中略)5年以上継続して到達しない場合には(中略)通知又は催告をすることを要しない」(会社法196条)とあります。
注意点としては、「5年以上」「継続して」なので、例えば一回送付して戻ってきてしまったので通知をストップしたり、
数年ごとに送付したりしなかったりしている場合には要件を満たさない可能性があります。
Q3.株主の確認が必要な場合にはどう取り扱ったらいいのか?
会社が大きな行動をとる場合、例えば合併や解散、事業承継や株主の相続などの際に、
株主の状況が大きな影響を及ぼしますので、その際、所在不明株主はどう取り扱っていいのか困ります。
A.要件を満せば、会社が競売や売却処分ができます。
これまた会社法197条に、「次の二つの要件を満たす場合にはその株式を競売などの方法で売却し、
その代金をその株主に交付(供託)できる」とあります。この規定を利用して、所在不明株主を整理することができます。
①Q2の要件を満たして、通知が不要とされる株主である
②5年間配当金を受け取ってもらえていない(配当していない)株主である
※実行の際に必ず弁護士と相談しながら進めましょう。
まとめ
会社が合併などの組織再編をする際「税務上の適格かどうか」という判定などに株主の構成が問題となります。
また、相続の際「株式の相続税評価額」の算出に際しても株主構成は問題になります。
そしてQ&Aにある通り、所在不明株主については、。
問題が起こる前に、いまいちど株主の状況を整理しておいてはいかがでしょうか。