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相続・事業承継Vol.25 小規模宅地等の特例封じ!

小規模宅地等の特例封じ!

相続・事業承継Vol.25 

 

相続税の計算において、小規模宅地等の特例という制度があります。

 

例えば、自宅は財産価値があるといっても住むためのものですから、

その財産価値に相続税を課税されても、自宅を売って相続税を納付させることは現実的ではありませんし、

あまりにも非人道的なことになります。

そのような観点から、一定の要件を満たせば財産価値は80%減額してあげるね、

と国が生活を守るため相続税があまりかからないようにしてくれています。

しかし、この制度の趣旨を逸脱する納税者(税理士がアドバイスしていたということだと思いますが、、、)が多くいたようです。

 

改正は2点あります。

いわゆる「家なき子」という相続人が親の家を相続することによる小規模宅地等の特例を利用したものと

賃貸不動産を利用したものです。

 

本当は家ある子

まず一つ目です。

親子ともに自身の家を保有していた場合は、子供にも自宅があるため通常は親の家は評価減できません。

しかし、ある時点において子供が自分の自宅を、自分の経営する法人に売買し、その後も自分が賃借して暮したり、

子供が自分の子供(ややこしいので「孫」といいます)に自宅を贈与又は売買して、

その孫から子供が借りて住むなどして自宅を保有していない状況を作り出して

親の相続の際に親の自宅を相続して評価減を適用していたというものです。

つまり実態は変わらないが形式を変えたことで相続税の負担を大幅に軽減していました

 

これらの趣旨逸脱を防ぐために税制改正が行われ

平成30年(2018年)4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産については、

以下の者を小規模宅地の特例の対象者から除くこととなりました。

  • 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
  • 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

 

タワマン節税けしからん!

次に賃貸不動産にかかる小規模宅地等の特例です。

親が危なくなってくると親自身や子供が急に相続対策を始めます。

お金のままよりは不動産の方が相続税上では評価が低いため不動産を購入して相続対策を行ったりするわけです。

賃貸不動産であればさらに評価が低くなるため、相続税のためだけに賃貸不動産を購入するということがあります。

しかし、相続開始直前のこのような対策は趣旨に反するとして、税制改正で防がれました。

・相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、

貸付事業用宅地等の範囲から除外されることとなりました。

ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模(5棟10室以上)で貸付事業を行っている者については、

従来通り貸付事業用宅地等の適用対象とされます。

※平成30年(2018年)4月1日前から貸付事業の用に供されている宅地等は改正に関わらず、

適用ができますのでご安心ください。

 

小規模宅地の特例を使えるかどうかで非常に税額に影響があるため、ぜひ相続対策は早めに行いましょう!

また普通の小規模宅地の特例のポイントは

①相続開始前の所有状況・使用状況

②誰が取得するか

の2点です。

そして、もう一つの注意点として、相続税の申告期限まで保有する必要があるかどうかです。

したがって、納税のために申告期限までに売却するなどは自ら適用要件を満たさなくなる可能性があるためご注意ください。

いずれにしても安易な相続対策ではなく、相続後も見据えた検討が良いですね!