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相続・事業承継Vol.37  民事信託の活用

民事信託の活用

相続・事業承継Vol.37

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。

 

先日、ある会社の創業社長からこのようなご質問を頂きました。(一部構成を変えています。)

「当社の株式は大部分を創業社長である私が保有している。長男Aにいずれ会社を継がせたいと思っており,現在長男Aは当社の取締役をしている。当社はコロナ禍の影響で一時的に業績が悪化しているが、徐々に業績が回復し来期以降は好業績が見込まれる。

1、コロナ禍の影響で一時的に当社株価が下がっているタイミングで、株式を長男Aに贈与しようと考えている。

2、しかし、長男Aはまだ修行中のため、経営権を全て移転することには不安がある。

3、ただ、5年後には経営権を全て移転してもいいと思っている

何か良いアイデアはないでしょうか。」

 

【ご提案】

民事信託を活用してはいかがでしょうか。下記の信託ですと、経営権は創業社長に残したまま、財産権は長男Aに移転できます。

・信託財産:株式

・委託者:創業社長

・受託者:創業社長

・受益者:長男A

・信託期間:5年間(5年以内創業社長が死亡した場合には、その死亡時に終了)

・信託終了時の残余財産帰属権利者:長男A

 

(信託の用語等については、過去のSUレターをご覧ください。)

 

【信託設定すると・・・】

  上記の信託を設定しますと、株式の所有権は受託者である創業社長のままであり、引き続き株主として議決権を行使可能となります。つまり、経営権は創業社長が保持します。なお、税務上,受託者は信託財産を預かっているだけとみなされますので、創業社長に税務問題は生じません。

一方,受益者である長男Aは,信託受益権(会社の剰余金の配当及び清算時の残余財産分配を受ける権利)を有することとなります。税務上は,創業社長から長男Aへの贈与とされ贈与税が課税されます。

 

【信託期間中は?】

 信託期間中は,創業社長は受託者として会社の議決権を行使できるので,これまでどおり経営の実権をにぎっておくことができます

仮に、信託期間中に配当を行った場合は、配当金は受益者である長男Aが受領することができます。

 

【信託終了すると・・・】

5年経過時(もしくは創業社長死亡時)に信託は終了し,当社株式は信託の残余財産帰属者である長男Aのものとなります。税務上は,受益者から残余財産取得者が贈与を受けたとされます。ただし、受益者(長男A)=残余財産取得者(長男A)のため、自分自身への贈与になり課税問題は生じません。

 

なお、信託の活用以外にも種類株式など他の方法がありますので、お客様の事情や要望により提案しております。